2014年06月06日

禍福は糾える縄の如し(書痙)

我々のころの司法試験は,択一式,論文式,口述式という3つの関門が5月から10月にかけ,異なる日にあり,その関門をすべてクリアすれば司法試験合格という制度でした。

私が合格したころは,択一式が約15〜20%,論文式が約20〜25%,口述式が90%を超える合格率で,最終的には約3%の合格率でした。
http://bar-exam.shikakuseek.com/data/ronbun.html

今では制度が様変わりしており,よくわかりません。

皐月賞は最も速い馬が勝つ,ダービーは最も運がよい馬が勝つ,菊花賞は最も強い馬が勝つという競馬格言がありますが,

択一式に無敗の連勝をするも論文式に苦労した私は,上記競馬格言を試験にあてはめ,択一が受かって論文が駄目なのは・・・と思って,自己の実力不足を省みず,自己の運のなさをなげいていました(笑)。


ところで,論文式に苦労したのには,実は大きな理由がありました。
大変単純なことですが,「文字を書くのが遅い」という点でした。

文字を書くのが遅いと,単に書く時間が足らない,ことの他に,筆記が思考に追いつかず,結果,ものすごくストレスが溜まり,書きたいことを上手く書くことができなくなってしまいます。

これを改善しようと,鉛筆の持ち方を一から改めてみようと一念発起した結果,書痙という病気になってしまいました。
書痙とは,簡単に言えば,筆記に困難をきたす病気です。
http://health-to-you.jp/writerscramp/jigakakenakunarusyokei7767/

どういう持ち方でどういう風に鉛筆を動かせば文字が書けるのか分からない…というか,分かるのですが,手が動かなくなってしまいました。
ゴルフ等のイップスに近いと思います。
報道等によると,有名バイオリニストがそうであるとか,昔の銀行員がよくなったとか。

短時間で大量に文字を書く論文式試験を受験する立場からは,書痙は処刑に等しいものです。

そういえば,今の制度のもとでは,私のころのような苦労はないのだろうな,と思いましたが,やはり筆記には苦労しているようです。

https://www.kobe-np.co.jp/news/backnumber/201405/0009381560.shtml

話は戻り,結果,もう駄目だ,と思い,IT関係の仕事なりを本格的に行おう(当時既にやってはいました。)と決意しました。

惰性で,択一式を受けました。択一式はマーク式なのですが,マークすらままならない中で,定規を使うなどして必死の思いでマークして,これは切り抜けました。
自分の名前を正しく読んでもらうことができるか,というのが一番心配でしたが,大丈夫だったようです。


もっとも,論文は,受けても名前くらいしか書くことができません。
どうしたものかなあと思い,駄目元で法務省に連絡し,パソコン受験の途を探ってみました。

そうしたところ,あれやこれやあって,試験日直前になって,いろいろな制約のもとで,パソコンで受験できる運びになりました。
官は融通が利かないなどといいますが,必ずしもそうでなく,正しいものについては,実現していくものなのかもしれません。

パソコン,プリンターを自前で用意し,試験会場に早い時間に持って行き,それらに不正がないことを確認して貰い,時間内に印刷までを済ませる,コピー&ペーストを使っては駄目など,細かなルールを作って受けさせていただきました。

マンツーマンならぬ,2人の私専用の試験官に見守られ,多少の緊張をしながら,受験し,無事,論文式試験を受験することができ,合格し,今に至ります。

諦めずに,努力することの意味を初めて味わったといっても過言ではない出来事でした(本当は既に諦めてITのことばっかりやっていましたが(笑))。


水越法律事務所のトップページにある,「禍福は糾える縄の如し」ですね。







実は,この文章は,受験科目に憲法があり,憲法の考え方って重要だなあ,ということを書こうと思って書き始めました。

本論にたどり着く前に横道で長くなってしまったので,本論は,また時間があるときに書いてみます。
posted by 水越法律事務所 at 15:19| 思うこと