2013年05月23日

「外れ馬券も必要経費」課税5200万円に減額(刑事裁判ですが)

以前facebookにこんな記事を書きました。

競馬の馬券で3年間で約1億4000万円儲けました。
払戻金額は約30億1000万円ですが,購入金額が約28億7000万円でしたので,1億4000万円に対して課税されるのでしょうか。
いやいや,外れ馬券分は控除すべきではないから,当たり馬券の購入費のみを控除した払戻金額約30億1000万円に対して約5億7000万円課税されるのですよ。
というのが,検察側の主張のようです。

一般的な感覚でいえば…

(A)
株は損益通算できる。
競馬は損益通算できないのか。

(B)
狩人(猟師)が,鴨を狩るために鉄砲で3発撃ったところ,そのうち1発があたって鴨をしとめた。しとめた鴨は相当の価格で売れた。
この売り上げに対する経費は銃砲3発分ではなく1発分にすぎないというようなもの。銃砲3発分が経費なのは明白だ。
競馬も同じで外れ馬券が経費にならないのか。



しかしながら,通達で「競馬の馬券の払戻金」は一時所得に該当すると定められている。
そして,(A)株の譲渡所得は,損益通算が認められている(所得税法第33条3項)が,一時所得には,そのような定めはない。
また,(B)狩人がしとめた鴨を売却するのは事業所得であり,必要経費の控除が認められる(同法第27条2項)が,競馬による所得は一時所得であり,「その収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)」を控除されるにすぎない(同法34条2項)。

よって,さしあたりの法解釈としては,検察側の主張にも理があるように思います。


しかし,やはり現実的な合理性を欠きますよね。
ギャンブルといえども1億以上稼いだら,6億近く課税されたのですから。

3年間で1億円以上稼ぐプロ馬券師なわけなので,事業所得だといえないのでしょうか。
「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」(昭和56年 4月24日最高裁判決)であるところ,プロ馬券師の馬券購入は,「反復継続して遂行する…社会的地位…が客観的に認められる業務」とはいえないということでしょうかねえ。

以上,正確性には自信がありませんので,つぶやきとして。

 この判決が,ダービー週である本日なされました。

西田裁判長は「被告はほぼすべてのレースで大量の馬券を購入しており、現に大きな利益を得ていた。娯楽というより資産運用として競馬をしていた
と言える」と指摘。「雑所得の場合は費やした支出を合算して経費とする」との同法の規定に従って、「外れ馬券の購入額や競馬ソフトのデータ利用料も経費に
あたる」と判断した。これらを控除し、被告が申告すべきだった所得は約1億6000万円、課税額は約5200万円と認定した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130523-OYT1T00605.htm

「娯楽というより資産運用として競馬をしていた
と言える」という点から,上記の事業所得じゃないか!という発想と同じですね。
ところで,通達で「競馬の馬券の払戻金」は一時所得に該当すると定められていることとの関係はどう考えたのでしょう?
「普通の」競馬の馬券の払戻金は一時所得だけれど,資産運用としての競馬の馬券の払戻金は別としたのでしょうか?

いずれにせよ,弁護人の先生,お疲れ様でした。
この結果が,税徴収にも反映されるのでしょうが,おそらく控訴されますね…。

今後とも要注目です。




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posted by 水越法律事務所 at 13:31| Comment(2) | 判例,裁判例