2014年07月09日

たられば,と5%



サッカーに造詣が深いわけではありませんが,たまたま早起きしたので,ワールドカップ ブラジルVSドイツをみていたところ,あれよあれよという間に点が入り…

やはり,何が起こるか分かりません。
仮に,先制点をブラジルが入れていれば,仮にブラジルの選手の怪我がなければ…



勝負にたられば禁物ですが,法律(裁判)の世界はたらればの世界であったりもします。

仮に,事故にあっていなければ,これだけの収入があっただろうけれど,それを失った,というのが交通事故訴訟における逸失利益という損害の考え方です。

そういえば,私も大きな交通事故にあったことがありますが,それさえなければ,メジャーリーガーだったかもしれません。
最近も,建築瑕疵に基づく事故で,大きな怪我をして松葉杖生活を余儀なくされましたが,怪我がなければ,今ごろゴルフのシングルプレーヤーだったかもしれません。

閑話休題。

よくある貸金請求訴訟などでも,仮に1000万円貸金が約束どおり返済されていれば,その1000万円を運用して,年利5%の運用益が出ていたであろう,という考え方に基づき,支払まで年5%の遅延損害金が認められます。1000万円の返済を5年間滞納していた場合,1250万円の支払を受ける権利があることとなります。


民法
(金銭債務の特則)
第419条
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

(法定利率)
第404条
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。


この運用益という考え方を,上記逸失利益にあてはめて考えると,逸失利益の填補は一時金として行われることから,運用益部分が控除されることになります。
つまり,将来,たとえば10年後において1000万円もらうべきものを,今もらうので,10年間運用できますよね,だからその分の運用益を控除しましょうね,というのが,中間利息の控除といわれる考え方です。



今般,この法定利率(=遅延損害金率)が見直される動きがあります。




http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20140709k0000m040072000c.html


記事によれば

 日本損害保険協会によると、生涯月収の平均が約41万円の27歳男性(扶養家族2人)が後遺障害で仕事ができなくなった場合、中間利息が5%だと逸失利益は約5500万円だが、3%では約7400万円に増える。

と大きく変わることになります。



そもそもが,年5%の運用益ということ自体が現実社会と乖離しているので,妥当な見直しでしょう。


ただ,上記の貸金の場合についてみると,仮に年3%となるならば,1000万円の返済を5年間滞納していた場合,1150万円の支払を受ける権利があることとなり,100万円現行制度より減ってしまいます。

遅延損害金が高いことは,怠惰な支払義務者へのサンクション(制裁)になるのでよい面もあると思います。
実務的な観点からすると,裁判が遅延した場合,支払義務者が牛歩戦術を採る場合などに,年5%もの法外な(といっても法定の)遅延損害金がいただけることが権利者の精神的な安定剤になっているとも思うので,中間利息以外の場面では,見直さないで欲しいなとも思いますが,それは都合のよい話でしょうね。





ネイマールがいれば…
posted by 水越法律事務所 at 10:43| 弁護士的情報

2014年01月31日

「経営者保証に関するガイドライン」

 平成26年2月1日より,「経営者保証に関するガイドライン」が適用されます。

 特に会社の再生の関係で,興味深く思っていたところ,弁護士会から,説明会参加の機会をいただきまして,行って参りました。
説明会は東海財務局で行われ,中小企業庁,金融庁などが参加して催されました。



 分かりやすくいえば,「経営者保証に関するガイドライン」の肝は以下のとおりです。

  1.  
    1.   入り口のスキーム
         会社の借り入れの際に,経営者保証を求めない方向で検討する。
    2.   途中のスキーム
            既に借り入れをおこしている会社(通常は経営者が保証人となっているケースが多い。)につき,@に準じて見直し,説明等をする。
           事業承継時も同様である。
    3.   出口のスキーム
           会社が,社会的な意味での倒産(法的にいえば,再生,破産等)の際に,必ずしも経営者の交代を求めず,経営者や保証人の責任を限定する。

これにより,経営者は個人的な重い責任を負担することが少なくなり,会社は資金調達が容易になります。
仮に会社が倒産するというときにも,経営者は再起をかけることが容易になります。


 会社の再生は,ハードルが高く,種々の方策を検討するも,結局頓挫してしまうことが多いです。
 破産により,仕切り直すことも一つの再起策として悪くないと思いますが,せっかく手塩にかけて育てた会社ですから,なんとか残していきたいものです。
まだ細部・具体的なところは未定ですが,「経営者保証に関するガイドライン」により,再起をかけることが容易になるとよいと思います。


(資料)経営者保証ガイドライン_02.jpg













posted by 水越法律事務所 at 12:54| 弁護士的情報

2013年10月08日

消費税転嫁対策特別措置法(消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法)



経営革新等支援機関

として,真面目な話題を。


消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法


いわゆる

消費税転嫁対策特別措置法


が,平成25年10月1日(一部は平成25年6月15日)より施行されます。


消費税の増税に伴い,「消費税還元セール」というワードを使ってはいけない,などと報道でやっていますが,その根拠となる法律です。


全文はこちら


要するにどういうことか?

以下の行為が禁止されます。
syouhizei.JPG








syouhizei2.JPG









(公正取引委員会資料より)


各種解説も行われていますね。

消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のために〜前半〜(内閣府HP)
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のために〜後半〜(内閣府HP)
消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント - 日本商工会議所

しかし,「消費税還元セール」くらい良いような気がしませんか?
売り主側からすると,消費税分を安くするぞということで,売上アップをはかり,消費側としても,お得感を味わうことができるのでは?

と思って,当該法律の1条をみると

「この法律は、平成二十六年四月一日及び平成二十七年十月一日における消費税率(地方消費税率を含む。以下同じ。)の引上げ(以下「今次の消費税率引上げ」
という。)に際し、消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の転嫁を阻害する行為の是正、価格の表示並びに消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別の措置を講ずることにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的とする。」


なるほど。事業者のためでもなく,消費者のためでもなく,国のための法律なんですね。
でも,なんで,適正な転嫁=還元セールは駄目なんだろう?何か理由があるのでしょうね。調べてみよう…。
posted by 水越法律事務所 at 09:54| Comment(0) | 弁護士的情報