2015年12月01日

水越法律事務所5年目 弁護士10年目

本日で,水越法律事務所5年目です。
5年前の今日,水越法律事務所を開設しました。

思えば,弁護士として10年目に入っています。

弁護士となり,今まで,初めてのことばかりで,右往左往してきましたが,ここのところ,漸く,どっしりとして安定的に業務を遂行することができるようになってきたような気がします。

成長させていただいたのは皆様のおかげでございます。これまで支えていただいた皆様に感謝の意を深く表します。


数多くやってきたのは,会社関係,交通事故,相続,破産(管財),一般民事(私人間の紛争)ですが,最近では,あまりやらない手続を採る機会に恵まれて?います。


この機会にあまり一般的ではない業務を少し紹介してみます。



  • 最高裁判所への上告・上告受理申立
日本の司法制度は,三審制といって,最終的には最高裁判所で判断されます。一応3回勝負できる建前です。
しかしながら,最高裁判所で判断されるには,種々の要件があり,それを充たした場合のみしか判断してもらえません。
これまで一度最高裁判所の案件をやったことはありますが,一審(地方裁判所),二審(高等裁判所)と自分のみが代理人として業務遂行し,最高裁判所までチャレンジする案件ははじめてです。
水越法律事務所開設以来の事件で,この事件ももうすぐ5年目ですね。



  • 継続的給付の差押え
民事執行手続の一つです。
民事執行手続とは,簡単に言えば,強制的にお金を取り立てる手続です。
なるべく和解で解決することを志向しているからか,執行する場面はあまりありません。
運良く1000万円以上を差押えにより回収できたこともありますが,頻繁に使う手続ではありません。
継続的給付の差押えとは,たとえば給料から,最終的に満額取り立てるまで,継続的に取り立てていく手続です。
なかなかの効力ですが,相手方のことを思うと心が痛む面もあります。



  • 削除の仮処分
インターネットの書き込みについて,削除する手続です。
従前は東京地裁でないとできませんでしたが,最近名古屋でもできるようになりました。
表現の自由VS人格権,名誉権という意外と憲法的なアカデミックな話となる事件です。
手続としては,結構煩雑です。
今後も,インターネットによる人権侵害は減らないでしょうし,容易に削除できるようになるんじゃないかとは思いますが,現状は,いばらの道です。



  • 外国への訴訟提起
外国に訴訟提起等をする場合,相手の会社の登記簿を採ったり,送達(訴状等を送る)について条約が影響したり,翻訳しないといけなかったりと大変です。
グローバル化により,統一,自動化される時代が来るのでしょうか。
ネットを用いれば,結構簡単な様にも思え,諸外国ではそのような制度を採るところもあるやに聞いていますが・・・



  • 相続財産管理人
亡くなった方に相続人がいない場合,相続財産管理人というものを選任し,遺産を管理し,最終的には国に引き継ぐことが必要です。
おそらく一般的には,それ程よくある業務ではないのですが,巡り合わせからか,多く関わっています。
現在も,相続財産管理人を選任してもらう側として,また,相続財産管理人そのものとして,業務をしています。
最終的に国庫(財務省)に引き継ぐ場面などでは,普段行っている司法ではなく,行政との連携が必要となり,国家というものを意識する業務です。
少子化が進み,相続人が存在しないケースも増えてくると思います。
そのようなケースで多くは,放置されており,所有者のいない不動産の問題など現在でも社会問題化しています。
今後,相続財産管理人の活躍の場は広がるように思えます。



  • 清算人選任申立
破産すると,裁判所から選任された破産管財人が処理をしますが,その処理に漏れがあった場合,清算人を選任してもらい,処理を行います。
おそらく,一般の方からすれば,何を言っているのか分からないと思いますが,要するにニッチな手続です。




  • 特別代理人選任申立
未成年者は,行為能力という法的な行為をする能力が原則としてありません。父母双方あるいはその一方が親権者として法定代理人として法的行為を行います。
訴訟も同様で,未成年者が訴え,または訴えられるときには法定代理人が行います。
ケースにより,法定代理人が不存在の場合,後見申立という手続を採るか,特別代理人を裁判所に選任してもらいます。
これもニッチな手続です。




  • 個人再生申立
債務を裁判所を通じて整理しようとする場合,大別して破産,再生という二つの方法があります。
多くの場合,破産の方がメリットが大きいため,再生に適した案件はあまりありません。
ただ,ケースによって,少ないですが,再生がはまるパターンがあり,それをやっています。



  • 限定承認
相続の場面で相続するか,しないか,の他に,遺産がマイナスでなければ相続するということも可能です。
それが限定承認という手続です。
これも,使い勝手が悪い制度で用いられることが少ないのですが,遭遇しています。

まだ書きたいものはあるのですが,珍しい手続であればあるほど,守秘義務との関係で,事件が特定される可能性があるので,書くことができません。


この先も,過去にとらわれず,未来に怯えず,今を生きるをモットーに,全力投球したいと思います。
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よろしくお願い申し上げます。
posted by 水越法律事務所 at 19:17| 事務所

2015年11月25日

家栽の人

才子短命

毛利甚八氏が死去 漫画原作者 

 毛利 甚八氏(もうり・じんぱち、本名=卓哉=たくや、漫画原作者)21日、バレット食道がんのため大分県豊後高田市玉津1085の1の自宅で死去、57歳。告別式は近親者のみで行った。

 漫画「家栽の人」の原作者で、植物を愛する家庭裁判所の判事が少年の更生に取り組む姿などを描いた。」

日本経済新聞より

http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E5%AE%B6%E6%A0%BD%E3%81%AE%E4%BA%BA&rh=n%3A465392%2Ck%3A%E5%AE%B6%E6%A0%BD%E3%81%AE%E4%BA%BA

司法試験を志す前に読んだのか,後に読んだのか分かりませんが,少年が壁にぶつかって,乗り越えていく過程に感銘を受けた覚えがあります。

そういえば,私の「家栽の人」は,今手元にありません。
後輩に貸したまま。
その後輩は,私より早く弁護士になって活躍しているようです。
おそらく,私の貸した「家栽の人」のおかげだと思います。

今読んだらどう思うのか,改めて買ってみましょう。
posted by 水越法律事務所 at 19:00| 事務所

2015年07月01日

ワカイ 

 弁護士は紛争を解決する仕事であると思っています。

 紛争解決手段は,大別して,以下の二つがあげられます。
1 誰かに判断して貰う=判決,審判,決定等
2 自分で決める=和解(示談)

 どちらがよいのか?

 ケースバイケースではありますが,和解を選択しなければならない場面は多く,その際に,和解のメリットをアドバイスさせていただく機会が往々にしてあります。

 その際に,書いたことを備忘録代わりとして,記載しておきます。
 和解するかどうか迷っている方?はご参考までに。


和解のメリットは?

 弁護士として,和解を勧めずに,粛々と訴訟等を進行することは容易ですし,ストレスも少なく,精神衛生上も望ましいことではあります。

 しかしながら,紛争解決,特に依頼者の利益をはかるという観点から考えると,判決を得るというのは大変リスクのあることですので,和解による解決は判決による解決に比してメリットが大きいことが多いと考えられます。

 以下,一般論として,和解による解決が優れていると思われる点について述べます。
 和解は,自らで結論を決められ,相手方も一応は納得している状況が作出されます。一方で,判決は他人任せであり,双方の意向に反する判決というのも珍しくありません。和解には結果への支配可能性があり,判決には支配可能性が必ずしもありません。

 また,判決による解決の場合,遵法精神のない義務者は義務にしたがわないことも往々にしてあります。支払能力が無い場合もありますが,何より支払意思が重要であると考えられるところ,他人に決められた結論に従わないという義務者は少なからず存在します。
 任意に支払わないとなれば,強制執行による手当の不十分性の問題,無資力の問題が顕在化します。
 和解による解決であれば,実質的な経済的利益の確保のための方策を手当することも可能ですし,一般に自ら約束した義務の方が,押しつけられた義務よりも履行可能性が著しく高いものです。
 ここでも,和解は履行に対する支配可能性が高く,判決は低いといえます。

 判決は,第三者たる裁判所による強制手段であることから,新たな紛争を生み出す要因となることもあります。
 和解であれば,清算条項(相互に権利義務無し)を設けることが通例ですし,感情的な納得性もあるので,判決に比して,新たな紛争の呼び水となる可能性は少ないといえます。
 その点で,和解の方が,将来における紛争予防という点のメリットがあるといえます(これも相手方が将来変なことをいってこないという点についての支配可能性が大きいといえます)。

 相手方がどのように動くかは,相手方次第であり,良くも悪くも自由なわけですので,少しでも支配可能性が高い方策が優れていると考えられます。

和解のポイントは?

 そして,和解について検討する際に重要な要素は,物差しのスタート地点を紛争事件発生前ではなく,現時点に設定すること,相手方を含めた他人には必要最小限の事項のみについて信頼し,その他の多くを期待しないこと,などであると思います。
 紛争において,人々が一様に思うのは,紛争前の状態に戻せ,ということですが,それは,時間が不可逆である以上,不可能です。紛争が起こってしまった以上は,その客観的な事実を前提に考えるべきであり,スタートを紛争前に設定することは紛争解決を著しく困難にする要因であると思います。
 紛争後の現時点を物差しのスタート地点とすることにより,どの方策がベターかを冷静に判断することができると思います。
 また,この物差しの考え方ともリンクするとも思いますが,和解の場面においては,過去の悪事を非難するというよりも,将来の賠償等に向けて履行を求めるという積極的要素が重要です。
 その場面で,履行に直接関係しない事項は問題にする必要がありませんし,問題にすれば,和解は壊れる方向に動きます。
 和解する時点以降においては,少なくとも和解に関する事項については相手方を信頼する必要がありますし,これまで紛争状態であったことからすれば,その他に期待をすべきでない,と思います。

 以上は,経験的,理念的な事柄であり,十人十色,必ずしもこのような考え方がよいというわけではありませんので,ご参考までにという趣旨です。

 本当に和解を進めることにより納得していただけているか否かは,知り得ないし,不安なことです(いただきものの真意にそのあたりを書きました)。

 弁護士として,このような考え方はまだ「若い」といわれてしまうようなことなのかもしれませんが,自らの命運は自らで選択した方がよいと思いませんか?





 闘うときは闘いますよ。
posted by 水越法律事務所 at 18:43| 弁護士として思うこと